今回は株式会社ケア21の有料老人ホーム「プレザンメゾン広畑」で施設長を務められている原田さんにインタビューをさせて頂きました。
2023年10月オープンし、インタビュー時は開設から4ヶ月のタイミングだったプレザンメゾン広畑の目指す施設像や、理想に向けた現在地をお伺いしました。
プレザメゾン広畑が目指すのは「夢を諦めない」施設
本日は、施設のありたい姿や現状、施設の特徴などお伺いできればと思いますので、どうぞ宜しくお願いします。
原田さん(以下敬称略):はい、こちらこそ宜しくお願いします。
早速ですが、プレザンメゾン広畑という施設が目指している施設像があれば教えてください。
原田:はい、ここの施設では夢を諦めない、やりたいことが現実にできる施設でありたいと思ってます。
入居者さんが何かやりたかったことややり残したことを、この施設に入って職員が協力のもと、できたらいいなと思ってます。
実際には認知症が進んで、ご家族様が介護疲れであったりとか、そういったご状況で入居される方もいらっしゃいますし、ご自身が子供さんに迷惑かけるのが嫌で入居を決められた方もいらっしゃって、ご家庭のご事情は様々なんです。
その中で、この施設に入ってこられて、ちょっと元気になっていただくというか、「ここの施設に入ったから、こんなことができるようになった」っていうのをまず最初の一つでも叶えることができればいいなと思っています。
スタッフはひとりひとりが、「誰かにとっての大切な人」
開設にあたってスタッフの方は元々面識が合った方を集めたりされたのでしょうか?
原田:いえ、まったくバラバラに集まっています。
職員の方も、色々なところの施設で経験があったとはいえ新規開設は0からのスタートで、職員みんなスタートラインが一緒なので、実際に最初に施設の方向性を共有認識としていく過程でチームワークが作られていきました。
それは結構大変なチームビルディングですね…。
開設前にチームビルディングのために何か行ったりはされたんでしょうか?
原田:そうですね、実は(この施設の)開設前のまだ入居者様がいらっしゃらない間に、スタッフのみんなに「みなさんのバッググラウンドにいらっしゃる大事な人を連れてきてください」ってお願いをしたんです。
そうしたら、ご両親連れてきてくれたスタッフとか子供さん連れてきてくれたスタッフがいて、ほぼ皆さん連れてきてくださったんです。
そうなんですね!なぜそのようなことをされたんですか?
介護職ってやっぱり人員不足。離職率も高いって言ったところで、でも結局、(離職率が高い原因は)何かなって掘り下げると人間関係なんですよね。どこにでもある、人間関係の問題なので、そこを大事にしていきたいなと思いまして。
職員さんのご家族様が、自分の子供、お母さん、息子がどんな人と仕事をしてるのかっていうのは、多分ご家族様も気になるところだったと思いますので、こういうところで、こういったメンバーで働いていきますよというのを見て頂きました。
実際、そのタイミングではご家族さんとも直接お話をして、私にとってもこの職員は私の大事な人になりましたということと、ケア21の企業理念にもある「人を大事にし、人を育てる」というお話もして、職員さんの周りの所からもちょっとずつ職員さんの心をほぐしたいと考えていました。結果として、介護の仕事をするならここでって決めてもらって、離職が出ないようにと思っています。
作っていきたいのは愛すべき短所をカバーしあえるチーム
原田さんが、これから作ってきたいチームのイメージはどんなイメージですか?
原田:イメージ…そうですね、カバーし合えるチームですかね。
どうしても、誰でも長所、短所ってありますよね。私は愛すべきところは短所だと思っているんです。完璧な人よりも、クセがあってついついこんなこと言っちゃう、やっちゃうみたいな人って、めちゃくちゃ愛すべき存在だなって思うんです。でもそういうところって、その人を知ればカバーできるじゃないですか。なので、その人らしく仕事をしてもらって、皆んながお互いを知ってカバーできるというのがいいかなと思います。
そこに向けて今直面している課題はありますか?
原田:そうですね、もっと思うことを言える職場になればいいのかなと思うんですね。やっぱり皆さん「嫌われたくない」、「こう思われたい」っていうのがあるので、例えば「あ、そんなこと言ったら駄目だな」って思っても注意できないので、「えっ、その言い方(良くないよ)」って言えたらいいなと思ってます。
あと、よく皆んなに「もっとキャラ変したらいいのに」って言うんです(笑)
それはどういう意図ですか?
原田:絶対に自分が持ってるものって変えられないので、もし年齢が若い女の子であれば、(経験がないと考えるのではなくて)もうそこを存分に生かしてもらいたいんです。
私たち50代ぐらいには出せない元気を持っていて、人の元気にはつらつと働いてる姿って見ているだけで元気をもらうんですよね。若い人が楽しく仕事をしてると、入居者様もやっぱりそれを見て、「頑張っとるな」って思って元気をもらうっていうところに繋がるのかなと思いますね。
施設長として大切にしていること
原田さんが、普段注意されてることとか、意識されてることとかっていうのは何かあったりするんですか?
原田:やっぱり1日1回は必ずちゃんと声をかけて、「○○がすごい上手やったね」とか、1褒めって言ったらおかしいですけど、褒めるところだったりとか、何かしら話すきっかけは探しますね。
あと、介護記録をずっと見てますので、どんな仕事をしてるのかってっていうのは入ってきます。「こう言ってくれてたねありがとうございます」とか伝えることで、現場で顔を合わせなくても記録から見てるよっていうのは伝えるようにしています。
職場は日中の時間では、おうちでいるよりかは長い時間過ごすので、やっぱりみんなに嫌な思いをさせたくないって思ってます。「職員たちが笑顔で楽しく仕事をしている」=「入居者様のサービス」に繋がっていきますので、職員のコンディションは、ちょっといつも気になっているところですね。今日はどうかな?今日は楽しくやってるのかな?って気にしていますね。
ちょっと変な質問なんですが、「合理性を追求するべき」か「無駄を愛すべき」かみたいなお話もあるかと思うんですが、原田さんはどうお考えですか?
原田:やるべき業務ってやっぱり1日の中で決まってるんですよね。でもそこを遂行したときに空いた時間でね、やっぱり入居者さんとお話してもらいたいんです。
入居者さんとはやっぱ一対一の繋がりが大切なんです。「今日何々さんってすごいお元気とか」、「今日の洋服すごく綺麗」とか、一対一の繋がりっていうのは「この職員さんは、今私を見て話してくれてる」みたいなとこを感じてもらうことで、それはすごく大切なんですね。なので、本当はもうちょっとその業務の方を効率良くしてもらって、入居者様と向き合ってもらいたいっていうのは思っています。
なので、いわゆる業務的なところは徹底的に効率良くと思いますね。
原田さんが職員の方に求めていることっていうのは何かありますか?
原田:そうですね、大きなものも小さなものも、失敗してもらいたいなって思ってます。私もすごいたくさん失敗したからこそなんですよ(笑)
「あ、これだ大事なんだな」というのは失敗する中で、色々と削ぎ落とされていって残っていくので、許される失敗をどんどんしてもらって、痛い思いをしてもらいたいなと思ってます。
色々な形での地域密着型を目指したい
地域密着型の施設になっていくために行っていることはありますか?
原田:施設にいろいろな方に出入りしてもらうようにしていますね。ついこの間もカントリーダンスのボランティアの方に来て頂いたんです。みなさん趣味で始めて、その延長で入居者さんの前で披露してくださっていると思うんですが、ご自身が楽しんでいるので、その姿を見ている私たちもすごい元気をもらうんですよね。ちょっと眩しいくらいにキラキラしているので、入居者さんがちょっと元気になったり、刺激を受けて「ちょっとこんなんやってみよう」とかなってくれたらなと思ってます。
あと、職員さんたちも「これぐらいなら自分も何かできるかも」みたいな発送に繋がっていけばいいのかなと思ったりしてますね。
それと、向こうのスペース(玄関脇のスペース)に、子供さんのおもちゃとかも置いてしてるので、育児サークル的な人たちがね出入りしていただいたら、ここでは高齢者の方皆さんが赤ちゃんとかもすごくお好きなので、そんな姿をちょっと遠目に見ていただくっていうのもいいのかなと思ったりしてますね。
ステキですねー!それ以外にも今後何かチャレンジしたいこととかありますか?
原田:結局、入居者様がもう働き者で、ずっと世話だけされるのってちょっとって思われるみたいなので、反対に何かお仕事をお渡しできればいいなとはずっと思ってて。その辺がねまだまだ私もちょっと良い発想が出てきてないんですが、なにか今日のお勤めみたいなものを提供できたらいいなと思ってますね。何か自分がすることが必要とされて役立っているっていうのを実感していただければ、なんか全然違うんだろうなと思いますね。
正しい答えは、全員で考えていく中で出てくる
原田さんご自身がチャレンジしていること、目指しているところを教えていただけますか?
原田:そうですね、入居者さんにとってご自宅ってやっぱり一番で、納得されて施設に入る方なんか誰1人としていらっしゃらないんです。ですので、反対に施設で生活する中に、家に帰るという発想を忘れてもらえないかと思ってて、施設の中での生活っていうもののパターンを何かしら変えたいなとはずっと思っています。
ただ、私は(経営上)どうしてもお部屋も埋めなければいけないので、まずは満床を目指します。満床プラス、職員の充足も目指します。
そして、満床になったところから、やりたいことをスタートさせられるかなと思うので、それまでは繰り返しですけど、ここの業務の無駄なものは削ぎ落としていきます。
あとは人材育成ですね。私がいなくても、ちゃんとその場でみんなが考えられて、意見が出て、「それでやってみよう」っていう建設的な話をしてもらえるっていうのが一番いい形なのかなと思いますので、今はいろんな失敗をたくさんしてもらって、自分たちで考えてもらおうと思ってます。
結局、私が正しい答えなんか持ってないので(笑)
実際に何かあったときって、いろんな意見の中でまず一つやってみる。それが失敗したらまた違う方法を考えていくって形で、何かしらね、正しい答えが出てくるのかなと思ってます。
なので、何か失敗があったから、「ちょっともう責任を取って辞めます」みたいなのもいらんかな思ってます。そこからなんでね、そこからスタートなんで。
パワーがある人に来てほしい!
いろいろとお話頂きありがとうございます!では最後に「こんな方に入職してもらいたい!」とかありますか?
原田:とにかくパワーのある方ですね(笑)
失敗してもいいから走りたいとか、一生懸命やろうと思ってやったけど失敗して怒られちゃった、うまくできなかったという方は合ってますね。
失敗によって自分の限界を決めていたり、自分はこれくらいって思っている人が成長できればいいのかなって思っているので!
逆にこういう人は合わないかもしれないというのがあれば教えてもらえますか?
原田:そうですね、今前を向いてやっていこうというところなので、前職で疲弊しきってしまってという方はまだちょっと私たちには早いかなと思っています。
もうちょっと私たちの元気の輪が繋がって、チームの力が強くならないと引っ張りあげてあげられないなと思ってるので、今はとにかくパワフルな人がいいなと思います!
インタビュー日:2024年2月
インタビュー先:プレザンメゾン姫路広畑(有料老人ホーム)
兵庫県姫路市広畑区夢前町3丁目1番21
インタビュワー:NOWIST株式会社 押味 隆宏